11주차 無名作家の日記(무명작가의 일기)  

 

 

 

 

 

十一月五日

11월 5일

十一月    じゅういちがつ

五日     いつか

 

俺は今日偶然、同じクラスの佐竹という男と話をした。

つい俺が創作の話を持ち出すと、あの男は突然こんなことをいった。

나는 오늘 우연히 같은 반인 사타케란 남자와 이야기를 했다.

내가 무심코 창작에 관한 이야기를 꺼내자 그 남자는 갑자기 이런 말을 했다.

俺は    おれは

今日    きょう

偶然    ぐうぜん

同じ    おなじ

佐竹    さたけ

男     おとこ

話     はなし

俺が    おれが

創作    そうさく

持ち出すと  もちだすと

男      おとこ

突然     とつぜん

 

「僕も、実は昨日百五十枚ばかりの短篇を、書き上げたのだが、

どうもあまり満足した出来栄えとは思われないのだ」と、

いかにも落ち着いた態度でいった。

百五十枚の短篇!それだけでも俺はかなり威圧された。

'사실은 나도 어제 150장 정도의 단편을 완성했는데

아무래도 그다지 만족스러운 결과라고는 생각되지 않아.'라며

아주 차분한 태도로 말했다.

150장의 단편이라니 그것만으로도 나는 상당히 위압당했다.

僕も     ぼくも

実      じつ

昨日     きのう

百五十枚   ひゃくごじゅうまい

短篇     たんぺん

書き上げた  かきあげた

満足     まんぞく

出来栄えと  できばえと

思われ    おもわれ

落ち着いた  おちついた

態度     たいど

短篇     たんぺん

俺は     おれは 

威圧     いあつ

 

俺が今書きかけている戯曲は、わずかに七十枚の予定だ。

しかも俺はそれはかなりの長篇と思っている。

しかるに、この男は百五十枚の小説を短篇だといった上、

まだこんなことをいった。

내가 지금 쓰고 있는 희곡은 고작 70장 예정이다.

게다가 나는 그것이 상당히 장편이라고 생각하고 있다. 

그런데 이 남자는 150장의 소설을 단펴이라고 한데다가 

여전히 이런 말을 했다.

俺が     おれが

今      いま

書き     かき

戯曲     ぎきょく

七十枚    ななじゅうまい

予定     よてい

俺は     おれは

長篇     ちょうへん

思って    おもって

男      おとこ

小説     しょうせつ

短篇     たんぺん

上                 うえ

 

「実は今、僕は六百枚ばかりの長篇と、千五百枚ばかりの長篇とを

書きかけているのだ。六百枚の方は、もう二百枚ばかりも書き上げた。

いずれでき上ったら、何かの形式で発表するつもりだ」と、

いうことが大きい上に、いかにも落着いている。

'사실은 지금 나는 600장 가량의 장편과 1500장 가량의 장편을

쓰고 있어. 600장은 쪽은 이미 200장 정도나 썻지.

조만간 다 되면 어떤 형식으로든발표할 생각이야.' 라고

큰소리치는데다가 매우 침착하다.

実     じつ

今     いま

僕     ぼく

六百    ろっぴゃく

枚     まい

長篇    ちょうへん

千五百   せんごひゃく

長篇     ちょうへん

方      ほう

書き上げた  かきあげた

出来上(が)ったら  できあがったら

何かの      なにかの

形式      きいしき

発表      はっぴょう

落着      おちつき

 

俺のように決して焦っていない。この男の書いたものを

一行も読んでいないから、この男の創作の質については

一言もいわないが、六百枚、千五百枚という量からいって、

この男は何かの偉さを持っているに違いない。

나처럼 결코 초조해 하지 않는다. 이 남자가 쓴 것을 

한 줄도 읽지 않았기 때문에 이 남자가 쓴 창작의 질에 대해서는

한마디도 할 수 없지만 600장, 1500장이라는 양으로 보아 

이 남자는 틀림 없이 뭔가 대단하다.

俺     おれ

決して   けして

焦って   あせって

一行    いちぎょう

読んで   よんで

創作    そうさく

質     しつ

一言    ひとこと

量     りょう

何     なに

偉さ    えらさ

持って   もって

違い    ちがい

 

俺は佐竹君をかなり尊敬し始めた。

ただ同県人で一面識しかない

林田草人を頼りにして、澄ましておられるこ

の人吞気(のんき)さが、少し淋しかった。

나는 사타케군을 상당히 존경하기 시작했다.

단지 동향인으로 일면식밖에 없는

하야시다소토를 의지하여 차분하게 있을 수 있는 

이 사람의 무사태평이 조금은 씁쓸했다.

俺     おれ

佐竹君   さたけくん

尊敬    そんけい

始めた   はじめた

同県人   どうけんじん

一面識   いちめんしき

林田草人  はやしだそうと

頼りに   たよりに

澄まして  すまして

人     ひと

吞気    のんき

少し    すこし

淋し    さびし

 

まったく無名の作家たる佐竹君の百五十枚の小説を、

林田氏の紹介によっておいそれと引き受ける雑誌が

中央の文壇にあるだろうか、

また門弟でもなんでもない佐竹君のものを、

林田氏が気を入れて推薦するだろうか?

전적으로 무명작가인 사타케군이 쓴 150장의 소설을

하야시다씨의 소개로 쉽사리 받아들일 잡지가 중앙 문단에 있을까?

아니면 문하생도 뭣도 아닌 사타케군 것을

하야시다씨가 마음을 다해 추천할까?

無名      むめい

作家      さっか

佐竹君     さたけくん

小説      しょうせつ

林田氏     はやしだし

紹介      しょうかい

引き受ける   ひきうける

雑誌      ざっし

中央      ちゅうおう

文壇      ぶんだん

門弟      もんてい

佐竹君     さたけくん

林田氏     はやしだし

気を      きを

入れて     いれて

推薦      すいせん

 

あの人は、投書家からいろいろな原稿を、

読まされるのに飽ききってるはずだ。

こんな当てにならないことを当てにして、

すぐにも華々しい初舞台(デビュー)ができるように

思っている佐竹君の世間見ずが、

俺は少し気の毒になった。

그 사람은 투서가로 인해 여러 원고를

마지못해 읽는데 몹시 질렸을 것이다.

이런 미덥지 못한 사실에 의지하여

곧바로 화려한 첫무대(데뷔)가 가능할 것처럼

생각하고 있는 세상물정 모르는 사타케군이

나는 조금 가엾어졌다.

人     ひと

投書    とうしょ

家     か

読ま    よま

飽き    あき

当てに   あてに

華々    はなばな

初舞台   はつぶたい

思って   おもって

佐竹君   さたけくん

世間見ず  せきんみず

俺は    おれは

少し    すこし

毒に    どくに

 

実際、本当のことをいえば、文壇でもずぼらとして有名な林田氏が、

百五十枚の長篇を読んでみることさえ、考えてみれば怪しいものだ。

佐竹君の考えているように、

すべてがそうやすやすと運ばれて堪るものかと思った。

사실 진실을 말하자면 문단에서도 흐리터분한 것으로 유명한 하야시다씨가

150장의 장편을 읽어보는 것조차 생각해보면 이상한 일이다.

사타케군이 생각하는 것처럼

모든 게 그리 쉽게 진행될 성 싶은 것일까라고 생각했다.

実際     じっさい

本当     ほんとう

文壇     ぶんだん

有名     ゆうめい

林田氏    はやしだし

百五十枚   ひゃくごじゅうまい

長篇     ちょうへん

読んで    よんで

考え     かんがえ

怪しい    あやしい

佐竹君    さたけくん

運ばれて   はこばれて

 

 

 

 

 

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